三沢市発、建設業の未来を切り拓く               ーー革新を起こすDX戦略ーー

【三沢市】株式会社小坂工務店

株式会社小坂工務店
総務部改善推進室 部長 川端 悟 様
総務部改善推進室 課長 大坂 静 様
三沢市を拠点に1958年創業、68年目を迎えた株式会社小坂工務店は、総合建設業を主軸とし、通信事業や不動産業など多角的に事業を展開しています。
業務効率化やDXに理解の深い社長のもと、DX認定を取得するに至った背景やエピソードを、中心となって取り組む川端部長、大坂課長に伺いました。

事業内容
総合建設業、携帯電話販売業、不動産仲介・販売・賃貸業 など
社員数
59名

DXへの挑戦の原点

 Q: DXに取り組む前の課題について教えてください。

長年にわたる課題は「コミュニケーション」でした。建設業は、従業員が各現場に分散するため、本社との情報共有や手書き書類のやり取りに多大な時間と手間がかかるという問題を常に抱えていました。事業が拡大するにつれて、部署間の情報断絶はさらに深刻化し、DXは単なる改善策ではなく、事業存続のための必須課題となっていきました。
また、社長は昭和60年代からデジタルの先駆けとなる取り組みを進めていましたが、当時、工事書類をワープロで作成し提出したところ、取引先から「手書きで出し直すように」と差し戻されたこともあるそうです。今では笑い話となるエピソードですが、この頃から社長のなかで業務効率化の課題意識は深く根付いていたそうです。

Q: 『DX認定』の取得を目指した理由は何だったのでしょうか?

DX認定の取得は、次の二つの目標を達成するため、2023年ごろから目指すことにしました。一つは、経済産業省に選定されている「地域未来牽引企業」としての取り組みを加速させ、外部評価を高めること。もう一つは、「会社として本気でDXに取り組む」という明確なメッセージを社内に示し、全社的な意識統一と改革への強力な動機付けとすることでした。


(左から)川端部長、大坂課長

DX認定取得に向けた社内改革

Q: 社内の体制はどのように組みましたか?

改善推進室は当初一人(大坂課長のみ)で立ち上げましたが、社内のDXに注力していくため増員し、DX認定取得に向けたチームを結成しました。また、長年取引しているベンダーのコンサルタントにも協力をしてもらい、確実に取り組むことができる体制を整えました。

Q: DX推進における社長の役割について教えてください。

社長自身がDXに強い関心を持っており、「トップが関与しなければDXは絶対に成功しない」という確固たる信念を持っています。デジタル関連のコストは単なる経費ではなく「未来への先行投資」と捉え、必要な投資は積極的に承認してくれます。
社員教育にかける情熱も並々ならぬものがあり、象徴的なのが次の方針です。
「同じ研修があるなら、より遠くに行け。」
これは、移動距離が離れるほど多様な価値観に触れる機会が増えるという考えに基づいています。こうしたトップの強力なリーダーシップが、DXを推進する上での揺るぎない基盤となっています。

Q: このような体制のもと、具体的にどのようなツールを導入し、活用していますか?

課題となっているコミュニケーションを強化するために、「デスクネッツ」と「LINE WORKS」を導入しています。
オンプレミス(自社サーバー)の「デスクネッツ」とクラウドの「LINE WORKS」を二本柱で運用することで、どちらか一方に障害が発生してももう一方で情報伝達ができる体制を構築しました。特にLINE WORKSは、管理者権限による厳格なセキュリティ管理が可能なので、安心してビジネス利用することができると感じています。
二つのコミュニケーションツールを併用することで、以前まで電話で行っていた緊急連絡や災害情報、熱中症アラートの周知などが一斉に、かつスムーズに行えるようになりました。

Q: セキュリティ面ではどのような取り組みをしましたか?

当社は米軍基地の工事も多く手掛けており、セキュリティ対策は単なるリスク管理ではなく、高価値なプロジェクトを獲得するための重要な要素と位置づけています。日本国内のセキュリティ基準に加え、米国の国立標準技術研究所が定めるセキュリティ基準「NIST」に準拠した体制も構築しています。これが競合他社との大きな差別化要因となっています。
社員教育としては、外部講師を迎えた勉強会やNTT東日本が提供している「標的型攻撃メール訓練」を長年活用し、全社のセキュリティ意識向上に努めてきました。さらに2026年からは、より高度な教育を実現するため、新たなセキュリティサービスの導入を予定しています。

試行錯誤で感じた変化と失敗からの学び

Q: 現場からの抵抗や戸惑いはありませんでしたか?

もちろん、最初から全員が歓迎したわけではありません。そこで、プロジェクトチームのメンバーを起点に情報を発信していくアプローチを取りました。
単に「使ってください」と一方的に案内するのではなく、利用者に寄り添う工夫を徹底しました。マニュアルを動画で作成して配信したり、各部門会議に直接出向いて勉強会を開いたり、Teamsを使って現場からでも会議に参加できる環境を整えたりと、地道な活動を通じて従業員の協力体制を築き上げていきました。

Q: 『会社が変わった』と実感できたエピソードはありますか?

社内で開発した工事管理システムを導入した際、大きな変化を感じました。それまでは新しいツールに対して受け身だった社員から、「この機能の使い方がわからない」「こういう時はどうすればいい?」といった質問が、自発的に寄せられるようになりました。これは、社員が「ツールを使わされている」という意識から、「ツールを使いこなそう」という主体的な意識へ転換した瞬間であり、組織全体のカルチャーが変わり始めたと実感することができました。

Q: 失敗談があれば教えてください。

2023年から約1年半、AIツールを導入していた時期がありました。
AIの基本操作に加え、プロンプト作成の考え方や情報漏えい防止などセキュリティ上の注意事項を整理した生成AI利用規定を作成し、安心して使ってもらうためのルール整備にも取り組みました。
しかし、「自分の仕事でどう使えるのか」を具体的に思い描いてもらうところまでは至らず、業務への活用イメージを十分に伝えることができませんでした。加えて、利用可能なユーザー数の制限もあり、活用は一部に限定されました。
この経験から、「成功するツールは明確で実用的な目的を持つ一方、どれだけ先進的でも、日々の業務に直結する明確な目的と具体的な活用像がなければ定着しない」という教訓を得ました。


従業員の方が仕事をするフリースペース

DXが拓く未来、挑戦する企業へのエール

Q: 会社として『100億宣言』も掲げていますが、DX推進はどのように貢献すると考えていますか?

私たちにとってDXは、単に業務効率化や売上向上の手段ではありません。建設業界が直面する深刻な人材不足を補い、会社が未来永劫存続していくための生命線です。業務効率化によって生み出された時間や資源を、新たな価値創造へと再投資する。その好循環の先に「売上100億円」という目標達成があると確信しています。DX推進とこの目標は、まさに「切っても切り離せない関係」だと考えています。

Q: 今後はどのような取り組みを計画していますか?

現在、建設事業の新たな基幹システムの開発を検討しています。引き合いから受注、プロジェクト管理までの情報を一気通貫で管理し、迅速で精緻な経営判断とさらなる業務効率化を目指します。

Q: これからDXに取り組む県内企業の皆さまへメッセージをお願いします。

DX推進で最も重要なのは、「一人で抱え込まず、社内外に相談できる『仲間』を作ること」。これに尽きると身をもって学びました。
DX推進室を立ち上げた当初は一人(大坂課長のみ)で、何をどうすれば良いのかわからず悩み、正直なところ毎日泣いていました。だからこそ、社内で協力者を見つけること、社外で出会う他社の担当者と繋がることの価値を痛感しています。DXは答えのない挑戦の連続です。多様な人々との繋がりこそが、その道を照らす最大の力になるはずです。

社員二人でタッチすると飲み物がタダになる自販機も設置
2023年1月から利用している新社屋

株式会社小坂工務店

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TEL 0176-53-1711
URL https://kosakagc.co.jp/
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