青森県DX先行モデル創出支援事業費補助金で地域課題を解決! 「イベントミツケタ」での挑戦 やまと印刷株式会社

やまと印刷株式会社

やまと印刷株式会社では、令和6年度青森県DX先行モデル創出支援事業費補助金を活用し、地域イベントの情報が届いていない領域を埋めるプラットフォーム「イベントミツケタ」を4ヶ月でリリースしました。開発の経緯と補助金活用のリアルをテーマにやまと印刷株式会社の秋元社長にお話を伺います。

事業内容
総合印刷業
社員数
44名(2023年6月現在)

地域イベントの“探しにくさ”を変える
「イベントミツケタ」の開発に取り組んだ背景

Q: サービスを展開しようと思ったきっかけを教えてください。

地域のイベントを運営する方々は、例外なく「集客」に苦慮しています。集客を伸ばしたくても広告に割ける予算はほとんどなく、チラシを自作して配ったり、SNSで投稿したりと、手間をかけてもイベント情報が広く届かないのが実情です。入場料や販売収益が発生しない小規模なイベントでは、広告にお金をかけられないため、近隣住民ですら開催を知らずに終わるケースが後を絶ちません。
私自身、地域コンテストの審査員を務めた際などに、「参加者を増やしたいのに告知方法が分からない。大手のウェブサイトに宣伝をお願いすると費用がかかりすぎる。」という声を何度も耳にしました。そのたびに「もし無料で掲載できて、検索すればすぐに見つかる仕組みがあれば、主催者も参加者も助かるのに」と感じていました。この現場感覚こそが、地域イベント情報を一元的に発信するプラットフォームを作ろうと決意した原点です。
地方には“せっかくのイベントが誰にも知られずに終わる”という情報が届いていない領域があります。そこで「小規模イベントでも無料で告知でき、住民が一箇所でイベント情報を探せる場を作ろう」と決めました。

「イベントミツケタ」のトップページ
イベント情報を検索可能

使って初めて見える課題ー改修に備えた”情報の貯金”

Q:「イベントミツケタ」をリリースした後、どのような改善を進めていますか。

「イベントミツケタ」をリリースした後、どのような改善を進めていますか。
補助金事業で立ち上げた「イベントミツケタ」は、約4ヶ月という短期間で必要最小限の機能でリリースされたため、現時点では柔軟性に乏しい状態です。
この状況に対し、公開直後から利用者や主催者の声、掲載希望者フォームの操作ログ、アクセス解析のデータを収集し、要望を整理しています。私たちは一時的な修正ではなく、将来の大規模改修に備えた言わば「情報の貯金」をしています。
現在のイベント掲載方法は、やまと印刷が代理入力する方法と、主催者からのフォーム送信経由の2パターンですが、将来的には主催者自身が直接ページを作成できるよう目指しています。その準備として、掲載フローの改善点や主催者が求める情報などを詳細に記録中です。
今後、この「情報の貯金」を活用して、主催者にとって掲載しやすく、利用者にとって使いやすいプラットフォームへと効率的なシステム改修を進めていく方針です。

迷わない優先順位―4ヶ月で仕上げた開発の舞台裏

Q: 短期間で開発を完了させるために、どの機能を優先しましたか?

令和6年度青森県DX先行モデル創出支援事業費補助金に採択されたものの、交付決定から「イベントミツケタ」のリリースまで実質4ヶ月しかありませんでした。そこで機能を3段階に分け、「今回の開発で必ず実装」「次期開発で検討」「将来のアイデア」と明確に線引きしました。今回の補助事業においては根幹の機能であるイベント登録、検索、画像表示の3点に絞って開発を進めました。
今回活用した補助金は開発費・人件費・外注費が対象で、自己負担を大きく抑えることができました。資金繰りを心配せずに専任チームを置けたことが、短期開発を成功させることができた最大の要因です。
特に人件費まで補助対象になる点は大きなメリットでした。ただし短期間で結果を求められるので、「欲しい機能が全て入ったシステム」を作ろうとすると間に合いません。なので、「必要最低限の機能でサイトの立ち上げを行う」と明言し、社内外の認識を揃えました。
補助金の活用を検討する企業の皆さまには、開発期間を考慮し、事前に実施する内容を明確にしてから取り組むことをお勧めします。

今後の「イベントミツケタ」横展開と補助金活用のポイント

Q: 今後、「イベントミツケタ」のサービスをどう拡大していく予定ですか?また、補助金活用を検討している方に向けてメッセージをお願いします。

現在は弘前市近郊のイベント掲載が中心ですが、次は八戸エリアへ拡大します。既に八戸の印刷会社と提携交渉を進めています。「イベントミツケタ」をライセンス提供して現地運営を委ねることで、将来的には青森県全域で同じ仕組みを走らせ、「地方イベントと言えばこのサイト」と呼ばれる存在を目指します。
また、町会向け勉強会も開催しています。デジタルが苦手な方々を支援し、サービスを地域DXの入口にする活動も続けていきたいと考えています。
私は、新規事業を「0から1」に立ち上げる場面こそ補助金の真価が発揮されると考えています。開発に取り組むうえで最も負担がかかるものは費用ですが、補助金で開発コストを確保でき、しかも人件費まで対象にできたおかげで、社内に専任チームを置き、腰を据えて開発に取り組むことができました。
今回の県の補助金は、まず最小限の仕組みをつくり、現場の反応を見ながら育てていく、いわば「走りながら考える」開発スタイルを後押ししてくれます。私たちも実際に取り組んでみて、補助金が継続的な事業改善や変革の土台として、非常に有効に機能することを実感しています。

「イベントミツケタ」ページはこちら

やまと印刷株式会社

所在地 〒036-8061青森県弘前市大字神田4丁目4-5MAP
TEL 0172-34-4111
URL https://yamatop.jp/

やまと印刷株式会社が活用した令和6年度青森県DX先行モデル創出支援事業費補助金はこちら

お問合せ よくある質問